小水力発電について | 日本小水力発電株式会社
導入から発電開始までの流れ
水は高いところから低いところへ流れるように、小水力発電の導入は、地点調査から設計、施工、保守へと着実にステップを進めていくことが肝要です。
地点調査・可能性調査
小水力発電は、落差と水量があればどのようなところでも設置できます。小水力発電事業は、電力会社だけのものではありません。民間事業者、地方自治体、土地改良区、市民団体、個人など、誰でも可能です。ただし、候補地点の権利関係や法規制(特に水利権)は初期での確認が重要です。
地点調査・可能性調査(FS)は、主にコンサルタント会社が実施します。当社では、水力発電を計画しているお客様へ、設計や計画のアドバイスを行っています。詳細については、セカンドオピニオンサービスをご参照ください。
発電出力について
水力発電で得られる発電出力は、次式で計算することができます。
発電出力の算定に当たって、落差の決定には、取水位置、発電計画ルート、発電所位置、放水路位置の計画が必要です。また、流量の決定には、計画取水地点の流量データ(少なくとも1年間以上)が必要になります。
機種選定
有効落差と流量を基に、水車の選定をします。複数の水車が選定可能な場合は、経済性、設置条件、流況などを考慮し、水車の選定を行います。例えば、フランシス水車とクロスフロー水車は、適用範囲が広くラップします。フランシス水車の方が水車効率は高いですが、クロスフロー水車の方は流量負荷における効率が優位となるため、流量変動が大きい地点においては年間発電電力量がフランシス水車より優位になることがあります。
水車選定表
(注1)上表の値は参考値のため、詳しい内容はお問い合わせ下さい。
(注2) MAVEL社では、JEC規格の「軸流水車」を全て「カプラン水車」と称しており、当社もこれに準じています。国内では「チューブラ水車」と称することもあります。
設計
基本(概略)設計は、主に、コンサルタント会社が実施しますが、当社では、小水力発電設備の設計業務を致します。海外製の水車・発電機、国内製の制御盤・配電盤などを組み合わせて発電システムを構成し、お客様のニーズに合った最適な小水力発電設備をご提案いたします。
ご発注後、詳細(実施)設計に進みます。
建設工事・水車発電機の据付・試験
工事計画届を提出後、土木工事、建築工事、電気工事など、各工程に分かれて施工を進めます。
工事・試験時は、当社から指導員を派遣して、それぞれの地域の機器据付会社と協力して対応致します。
保守
運転開始後は、日常点検、年次点検など適切な保守を行い、発電量を減少させないように努めます。小水力発電の運転にとって、ゴミは最大の敵です。こまめな除塵作業を行い、情熱を持って小水力発電事業に取り組むことが大変重要になります。
小水力発電の維持管理には欠かせないゲート・除塵機システムの一例をご紹介します。なお、こちらの商品は、当社で単品売りはしておりません。
ネット式除塵機
小さなゴミまでほぼ完全に除去できるので、ランナギャップの小さい水車に適用されます。除去したゴミはシューターを用いて河川(水路)に戻す方法などがあります。電動駆動が標準です。価格は、他の除塵機と比較して多少割高になります。
レーキ式除塵機
ヨーロッパで非常に普及している除塵機です。小さなゴミまで除去できませんが、水車のランナギャップに余裕がある場合は、問題ありません。除去したゴミは、除塵機と連動した排塵ゲートから河川(水路)下流に戻されます。油圧駆動が標準で、比較的低価格です。
逆洗式除塵機
水路勾配を利用して水流を切替え、水車の方へゴミを流さないようにする除塵機です。油圧駆動が標準で、低価格です。除塵機動作中は、一旦水車発電機を停止させる必要があります。なお、この除塵システムは、2005年度、経産省の「中小水力発電開発事業」で新技術に認定されました。